5. 拮抗筋について

骨格の構成


動物は、骨と筋肉で外郭を構成しています。筋肉だけでは成り立ちません。骨だけでは不安定です。骨に付着する筋肉が力を入れてバランスをとりながら関節を固定し、体幹を支えているから、体幹を維持しながら自由にうごくことができるのです。

拮抗筋の位置


筋肉は、お互い制御しあう筋肉があります。これを、拮抗筋といいます。ほとんどが、骨を挟んで対称の位置にあります。

外力がかかった時の関節の固定


なぜ、拮抗筋が重要なのでしょうか。拮抗筋がないと、関節の固定ができないからです。 外力がかかった時を想定します。図のように、関節をAの筋肉だけで支えていたら、矢印の外力がかかった時、関節は外れてしまいます。

体の中での関節の固定


体内での力のバランスを維持する時を考えます。体のバランスをとるためにAの筋肉に力を入れなくてはいけなくなったとします。そうするとAの筋肉は収縮します。もし、関節にAの筋肉しかなかったら、この関節は固定したいのにもかかわらず曲がってしまいます。そこで、関節の固定のために、Bの筋肉が必要で、Aの筋肉の収縮力に応じてBの筋肉も収縮して、バランスをとらなくてはならないのです。

関節の形はさまざま/屈筋群と伸筋群


今度は、この関節を動かすことを考えます。Aの筋肉を収縮させれば左方へ曲がります。Bの筋肉を収縮させれば右方へ曲がります。それは当たり前です。大きい意味で、そういう運動の拮抗筋ということもあります。
しかし、関節は、体幹を維持させながらその場所に応じた働きもしなくてはならないので、(足は歩いたり走ったりする働きが多い。手は物を持ったり投げたりすることが多い)無駄な力を使わないように、さまざまな形の関節になっています。たいていは、骨を挟んで対称的な位置にある筋肉でも、関節の骨の形で可動に制限がかかっているため、AとBの筋肉の収縮が対称的な作用をするわけではありません(念のため)。骨を挟んで対称的にある筋肉を、屈筋群と伸筋群と呼ぶことが多いです。

関節を動かす時


上の図のような重力に逆らわない関節を左方向に曲げるのは、Aの筋肉に力をいれて、元に戻すのはAの筋肉の力を抜けばできなくはありません。
では、左の図のように、重力を斜めにうける位置に関節があるときはどうでしょう。
すると、関節をまっすぐに維持するにもAの筋肉に力を入れていなければいけません。
関節を左に曲げるには、Aの筋肉の力をさらに増します。


しかし、Bの筋肉がまったく遊んでいたら、関節は不安定です。斜めで静止しているときも、左に曲げるときも、Bの筋肉にも力をいれて、AとBの筋力のバランスで関節をコントロールしたほうが、関節が安定します。

まとめ

このように、骨の対称的な位置にあり、お互い伸ばしたり縮めたりして、関節の静動をコントロールしあう筋肉を拮抗筋といいます。関節には、関節を動かすだけでなく、関節を固定するのに重力がかかったり、他の筋力とのバランスを取るための外力がかかったり、その他複雑な力がかかります。そのなかで、関節の力のバランスをとるのが拮抗筋なのです。しかし、なんか最後は関節の話になってしまいました””

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