なぜ、ここまで細かく筋肉の勉強をしなければならないか


ここまで読んでいただいてありがとうございます。
筋肉の初歩的な説明をさせていただきましたが、筋肉の基本の学習の重要性がわかりますか?

我々従手療法者は、患者さんの体表から得られる情報から病態を理解し治癒していかなくてはなりません。
そのほとんどが、筋肉や腱が関わっています。

人間の身体は千差万別です。
似たような症状に分類することはできても、筋肉の凝り・既往歴・硬縮・年齢・職業・生活習慣・運動時の筋力の癖など、誰ひとり同じ身体はありません。
その人間を治療するには、応用の効く知識が必要です。
そのおおもとが、解剖学の知識です。

ある動作中、どの筋肉に力を入れているかが正確にわかりますか?

たとえば、平らな地面で立っている時を考えます。。
言葉では”力を抜いて立つ”といいますが、もし全ての力を抜いたら、意識を失った人のように地面に倒れこんでしまうでしょう。
つまり、力を抜くという意味は、無駄な力を抜くということで、全身の筋肉の力を抜いている状態ではありません。
立位の姿勢を保つには。上肢の筋肉の力はいらなくても、腹筋や背筋に、臀部や大腿部の前後の筋肉に、下腿部の前後の筋肉に力を入れて、大観や股関節や膝関節ならびに足関節が静止した状態を保つことで、立位姿勢でいられるのです。

このように、ある動作中には、無意識に力をいれて収縮を維持している筋肉はたくさんあります。

今度は、前記の環境で荷物を持った状態を考えます。
荷物を持つのですから、今度は上肢の筋肉にも力を入れます。その時、腹筋や背筋などの筋肉はどうなるでしょう。
体幹が動いてないのだから、筋力も変化しませんか。誤解しやすいですがそれは間違いです。
上肢の力の支点である肩関節にかかる力が変化するので、肩関節を静止させるための反作用の力が生まれます。そのため、静止している体幹の体のあらゆる関節にかかる力も変化して、腹筋や背筋など全身の筋力も変化させなくてはなりません。
このように、荷物を待っただけでも、様々な筋肉の筋力を変えなくてはいけないのです。

ひとつの動作で、全身のどの筋肉に力が入っているかを正確に考えるためには、筋肉の起始部停止部のほかに、等尺性収縮や等張性収縮・拮抗筋や運動の支点や力点など、いろいろな知識が必要になります。

そうすれば、筋トレやリハビリ・痛みの治療などに応用が効いて、今よりもっと素晴らしい仕事ができるようになるでしょう。

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