4. 等尺性収縮と等張性収縮


筋肉は脳からの指令が神経を介して届いたら、力が入って縮んで長さが短くなると思われがちですが、実際は、いつも短くなるわけではありません。筋肉は、収縮しようと力は入ってますが、拮抗筋や外力の影響などで、長さに変化がなかったり、逆に力を入れても伸びることもあります。どんなに力を入れても筋肉の長さが変わらない収縮を等尺性収縮と呼び、力を入れて縮むことを求心性等張性収縮、力を入れても伸びることを遠心性等張性収縮と呼びます。運動をする際、どの筋肉に力が入っているかを見極めることは非常に大切なことなので、上腕二頭筋を例にして説明していきます。














たとえば、肘を90°曲げて荷物を持った状態を考えます。


この時上腕二頭筋は持続的に力を入れなくてはなりません。

つまり、力を入れているのに筋肉の長さは変わってないのです。


これを等尺性収縮といいます。





どうしてこうなるかというと、

<筋肉が重力で引っ張られる力=筋肉を引っ張る力>と<筋肉を収縮しようとする力>が同じだからです。






今度は、肘を90°に曲げて荷物を持った状態から、少しづつ荷物を下に下ろしていきます。

この時上腕二頭筋の力をすべて抜いたら、肘は180°開きまっすぐになります。

ゆっくり降ろしていくには、力を入れながら伸ばさなくてはなりません。

つまり、筋肉は力を入れているのに長さは伸びています。


これを等張性収縮、そして遠心性の等張性収縮といいます。
心という意味は中心ということです。中心から腱の部分が遠くなるということで、遠心性です。


これは、
<筋肉が重力で引っ張られる力=筋肉を引っ張る力>よりもやや小さい<筋肉を収縮しようとする力>を持続的に加えているのです。




等尺性収縮をする例をもう一つ記します。

腹筋群と背筋群は拮抗しています。たがいに力を入れあって体幹を支えています。

腹筋の収縮力=背筋の収縮力 ならば体幹はまっすぐです。腹筋の収縮力を増加しなくてはいけない状態がおこったとします。その際、背筋の収縮力も同じく増加しないと体幹はまっすぐに保てません。

これも筋肉の長さは変わってないので等尺性収縮です。

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